障がい者の雇用は限界を超えているのか、水増し問題から考えてみる

国の各省庁で障がい者の法定雇用率が水増しされていたという問題は、各マスコミでも大きく取り上げられており、みなさんもご存知のことかと思います。

 

問題はまだまだ調査中の段階であり、マスコミも事実を報じるので精一杯のことかと思いますが、今後はもう少し踏み込んだ議論をこの機会にしてもらいたいと思っています。具体的には、なぜ省庁は水増しをしなければならなかったのかということ

を切り口にして考えてほしいなと思っているんです。

最近では省庁だけではなく、地方自治体でも、法定雇用率を誤って報告していたという事実も明らかになっていますね。

 

以下、個人的見解。

<なぜ障がい者雇用率を水増し、または誤って申請したのか>

このような事態が生じた背景は、以下の二つが考えられるでしょうか。1。職員の知識不足により、誤った数値での報告がなされていた

2。「法定雇用率を達成しなければならない」という使命感?義務感?で、軽度の障がい者障がい者手帳を保有しない者をも含めて算出して報告していた

 

上記2については、悪意のある偽造なので、社会的制裁はより高めだと思います。

では、なぜこのような事態が生じたのでしょうか。なぜ水増ししなければいけなかったのでしょうか。

要するに、障がい者がそこに集まらない原因を考えればいいのかなと思っています。その原因は、以下の二つ。

1。障がい者雇用枠でのポジションは、安い給与と、すごくつまらない職務が設定されていること

2。健常者が考える障がい者像に無理があること

 

まずは、上記1について考えてみましょう。

 

障がい者雇用の現状>

安い給与、限られた職務(これをつまらない仕事と表現してみましたが)

の典型的な事例として、ハローワーク障がい者求人をご覧ください。信じられない給与設定で、職務内容もアシスタントや補助的業務が中心。

本当に同じ人間だとみなされているのかな。障がいをきちんと理解しているのかな。これで応募者が集まると思っていること事態が現状の問題点でもあるかと思います。

障がい者だって、生きていかなければならないから、やむを得ず応募する人もいるかと思いますが、本位なのでしょうか。少なくとも、健常者と同じ給与設定で職務内容も同じという求人がもう少し多くてもいいのではないかなと思ってしまいます。

この低い給与設定の根本原因には、いろいろと考えられますが、まずは障がい者年金が大きく影響しているのではないかと思っています。企業側は、年金を受け取れるのだから、多少低い給与でも問題ないと考えているのではないかと推測!

言語道断ですよね?障がい者年金を前提に処遇が決定されるって。

 

<健常者が考える障がい者像に限界がある>

これだけ多様性が主張される世の中ですが、健常者の中には、障がいがあっても健常者と同じように働きパフォーマンス(成果)を出してほしいと考える野蛮な人たちがいるように思います。

健常者と同じようにという言葉には、まだまだ曖昧さが残っているように思いますので、もっと具体的に述べるならば、「自分と同じ様に働き、自分と同じような成果を出せる人」と定義します。

そもそも、こんな考え方に無理があるのです。健常者と同じ様にできるならば、障がい者ではありません。同じ様にできないから、社会的に「障がい者」として法的保護を与えられているのです。

だからといって、決して誤解して欲しくないのは、結果が出せないわけではないということ。プロセスは健常者とは異なるかもしれませんが、結果は出せます。私も、紙の資料は読めませんが、エクセルやワードのようなデータであれば、企画書も作れますし、申請書も書けます。

障がいが原因で、通常の人とは、通る道が異なるだけで、貢献はできるのです。

大学時代の就職活動、そして現在の転職活動を通じて、上記の様な五人・勘違いをしている採用担当者が多いことには、正直辟易します。自分の子供が障がい者だったら、自分がもし障がい者だったらと考えをもう少し巡らせてほしいものです。

 

なので、面接でそのような話が出れば、手段は違うが結果は出せると答えるのですが、手段が異なることについてはまだまだ理解が足りない人が多く、わかってもらえません。

 

上記のような現状があるからこそ、障がい者は集まらないし、定着率も低いのです。もちろん、当事者側も考えを改める必要があるのかもしれませんが、採用側ももう少し工夫が必要ではないでしょうか。この水増し問題をきっかけに、より良い方向に障がい者雇用が進めばなと心から願っています。